●金獅子賞受賞『三峡好人』、中国ではヒットせず?(2006/09/14)
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賈監督は中国映画の新世代を担う若手監督で、炭鉱労働者や農村からの出稼ぎ者など、普通の人々の生きる姿をリアルに描く作風で知られている。『三峡好人』は三峡ダム建設が進む四川省・奉節の風景と、家出した妻子を探す炭鉱労働者、消息を絶った夫を探す看護士の日々を描いた作品で、ベネチア映画祭でサプライズ上映された。
『三峡好人』を出品した上海電影集団公司の汪雲天・副総裁は「権威あるベネチア映画祭での受賞は中国国内での興行に良い影響を与える。だが商業的な作品ではないので大ヒットすることはないだろう」との考えを示した。
賈監督の前作『世界』はベネチア国際映画祭、香港国際映画祭など各地の映画祭に出品され高い評価を得たが、中国大陸での興行成績は数十万元にとどまり、汪副総裁は「赤字だった」と証言。
『三峡好人』の中国国内での上映については賈監督自身も以前から、「芸術作品のためマーケットには限りがある。なるようになればそれでいい」と語っていたという。
中国大陸では「商業作品」と「芸術作品」の垣根が高く、ハリウッドや香港のコメディー、アクション映画が人気を集めている。そうした中、『三峡好人』がどう受け入れられるかは、中国のエンターテインメント市場の今後を占う上でひとつのヒントになりそうだ。
『三峡好人』は日本では11月17日に開幕する「東京フィルメックス」のオープニング作品として上映されることが決まっている。
(編集担当:恩田有紀)
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